マップラバーかマップヘイターか

自分が所属する新製品開発プロジェクトが頓挫し、いろいろ後片付けをすることになりました。惨めなもんです。今、ここに至るまでの反省点を考えています。今回は計画の立て方とその修正についてです。
まず計画作成者がマップラバーでした。ここでマップラバーとは、全貌を知った上で歩みを進める、つまり広域地図が先にあり狭い範囲の詳細は後で埋めていく、というタイプです。この対義語はマップヘイターであり、身近の詳細地図をこつこつ作りその範囲を広げることで全貌をつかむタイプです。(マップラバー、マップヘイターは福岡伸一著、世界は分けてもわからない、参照)
言葉の説明で話がそれましたが、計画作成者がマップラバーだった、という話です。マップラバーの考え方自体は悪くないのです。うまくはまると問題がスマートに解決するので効率的に見えます。ただしそれには前提があり、最初に作ったマップが概ね正しくなければなりません。間違いが多かったとしても詳細マップ作成の過程で分かったずれを、最初に作ったマップに反映させて修正すればいいのですが、計画作成者が誤りを認めたがらない場合、詳細マップの方を無理やり合わせようとします。例えば必要のない橋やトンネルを作って道路を無理につなぐようなものです。これはもうプロジェクトとして終わっています。誤りを認めない理由は、人間関係や立場など考えられますが、そういう事情はプロジェクトには無関係であり、利己的な感情はなくすべきでしょう。
マップヘイターの手法では、全貌を知るのに時間がかかりますが予断がないため事実をねじ曲げることがありません。
どちらがよいとも言えませんが、結果としてマップヘイターの方が早く完成した、という事例が多いような気がします。


世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

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