ドイツ現代史の正しい見方
ドイツと日本は、よく比較されます。確かに似た部分が多いです。20世紀初頭の国際的な立場は、ドイツも日本も、覇権を握るには小さいが近隣に脅威を与える程度には大きい、というなんとも扱いづらい国でした。両国とも結果的に孤立して戦争を始めてしまいました。戦後はドイツ(西ドイツ)も日本もアメリカ陣営に入って安定成長を享受しました。
違いは、ドイツの戦争責任はナチスに帰したのに対して、日本の戦争責任は曖昧になっていることでしょう。未だに何が戦争を引き起こしたのか結論が出せないから、外交方針も定まらないのではないでしょうか。
アメリカと中国に挟まれて両方にいい顔をするのは、ワイマール共和国末期と同じように見えます。このままじり貧で日本人の窮乏感が増すと、民意が暴走してヒトラー的な人物が祭り上げられる可能性だってあります。
最後にこの本の9章冒頭より引用します。
ドイツ人にとってはデモクラシーよりも国家が安定していることのほうが大事なのである。
日本人も同じかもしれません。安定を好みます。デモクラシーによる安定した政治を望み、政権交代もその枠内に収まることを期待していた人々は、民主党が示す数を頼りにした驕りに幻滅しています。政権交代、もっと言うとデモクラシーにネガティブなイメージを与えた民主党は罪深いと思います。
- 作者: セバスチャンハフナー,Sebastian Haffner,瀬野文教
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