本
羽生善治と柳瀬尚紀の対談集です。 15年くらい前の『対局する言葉』よりも内容が理解しやすかったように思います。表現がこなれてきたのでしょう。それだけ羽生の思考に周りが迫りつつあるということかもしれません。まあ、一般人からみると仰ぎ見る存在に変…
印象的な言葉が一杯でした。以下、一部紹介。 追い詰められた場所にこそ、大きな飛躍があるのだ。 駒がぶつかったあとからは争点がはっきりとするのである意味、考えやすい。(中略)勝負どころはもっと前にあるのだ。 「キスで行け」、つまり、簡単に、単純に…
塩野七生さんのエッセイ集です。主に映画を通して人間の生きざまを考えています。男女関係に関することが多いですが、それにこだわらず記憶の片隅に残った記述について書きます。 1.人間は誰にも理解されないと思い始めると過激化する。 2.休暇の意味は普段…
将棋の羽生名人に認知科学の視点から迫る部分と、将棋のアルゴリズム強化を目指す人工知能研究についての内容です。 認知科学の用語で「メタ認知」とは、自分を見つめる視点を意味します。自分を客観的に見ることが自分なりの学習法を見つけるために効果的で…
斎藤孝さんの著書です。コミュニケーションをとるためにはよい質問が必要であると説いています。 質問は、1.具体的か抽象的か、2.本質的か非本質的か、という2つの軸を基準として分類できます。具体的かつ本質的な質問がよいのは言うまでもありません。他に…
本棚からあふれていた本を思いきって処分しました。このブログに書いていない本をいくつか挙げます。 いま、すぐはじめる地頭力作者: 細谷功出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2008/06/11メディア: ハードカバー購入: 18人 クリック: 293回この商品を含むブ…
買ってしばらく置きっぱなしだったのですが、時間が空いたので2時間半で読みきりました。読後感は、さっぱりしているとか、後味は悪くないとかいったところです。 帯に「いろいろと推理するだろう、残念ながらすべて間違っている」と挑戦的なことが書いてあ…
ドイツと日本は、よく比較されます。確かに似た部分が多いです。20世紀初頭の国際的な立場は、ドイツも日本も、覇権を握るには小さいが近隣に脅威を与える程度には大きい、というなんとも扱いづらい国でした。両国とも結果的に孤立して戦争を始めてしまいま…
ストレートな題名ですが、囲碁のタイトル戦を舞台にしたミステリーです。 碁盤全面を使う詰碁を珍朧と呼ぶそうで、その詰碁が一つの鍵となっています。 30年前に出版された本ですが面白かったです。 追記:本文中に触れられていますが、囲碁というゲームが将…
史記に続いて三国志です。三国志は横山マンガや吉川小説で読みましたが、改めて事実関係を整理するつもりで正史のダイジェストを読みました。ドラマとしての面白みは欠けますが、歴史を客観的に考えるのには役立ちます。(晋に偏った部分も多いでしょうが。) …
中国四千年の歴史といいますが、最近の騒動を見て歴史に興味を持ちました。 史記は古代から前漢の武帝まで記されています。王や皇帝が起っては滅びを繰り返し、それが現代にも続くのですから中国共産党の怯えも理解できます。 いっきに読める史記作者: 島崎…
トルコ帝国が支配するイスラーム勢力と、スペイン・フランス・ヴェネツィアなどのキリスト教勢力とのせめぎあいが続きます。ヨーロッパは暗黒の中世からは抜け出しルネサンス時代になっていますがイスラーム勢力の海賊に荒らされる地方は苦しい生活を強いら…
子ども向けに講演した内容をまとめたものらしいですが、36歳が読んでも役立ちそうです。 いろいろ経験するとだいたい失敗はしない方法はわかるようになりますが、目先の安定を求めて挑戦しなくなると成長もなくなります。子どもはもとより、おじさんになって…
パクスロマーナ終焉により暗黒の中世時代に入ります。争いの絶えない世の中にイスラーム勢力が伸長します。人権意識などない時代なので争いに巻き込まれた人々の生活はどん底に落ちます。そんな中ヴェネチア共和国のような通商国家が海軍力をつけサラセンの…
ローマ人の物語終盤でキリスト教勢力の拡大がポイントになりました。対してイスラム教はどういう歴史を持つのか興味を持ちました。 ユダヤ、キリスト、イスラムは全て一神教ですが、同じ神を信仰していると知りました。私から見ると、信仰のやり方が違うだけ…
ローマ的なものが衰退し、東はオリエント化、西は蛮族に支配されることになります。キリスト教の異端排除の動きが蛮族を利することになり、東ローマ帝国も衰退の一途をたどります。7世紀にはマホメットがイスラム教の布教を開始し地中海沿岸の南側を席巻しま…
皇帝が元首から専制君主へと変化したことにより国家としてのローマが終わったと言えますが、さらに皇帝がキリスト教の司教にコントロールされる立場になり異教が排斥されることになってローマ人の歴史も終わったと言えます。キリスト教が権力と結び付くこと…
3世紀の危機の後、ディオクレティアヌスが皇帝となり帝国を4人の指揮官によって防衛する方針をとります。ズタズタになっていた防衛線をなんとか回復しますが、その代償として兵力増大と統治システムの肥大を生み出し、増税や階級固定政策により中流以下の市…
カラカラ帝によるローマ市民権の大盤振る舞いによりローマ市民のアイデンティティーが崩壊し、ガリエヌス帝による元老院と軍団との分離により指導者層の劣化に拍車がかかります。軍団の気まぐれで皇帝がコロコロ替わる様はまさに末期的です。 ここ数年の日本…
五賢帝時代とは言われるものの、アントニヌス・ピウスの治世には既に北方蛮族の南下によるゲルマンの力関係の変化が始まっており、マルクス・アウレリウスの治世に起こるドナウ防衛戦に至ります。その後、またしても世襲が機能せず再び内乱となりセヴェルス…
ローマ史上有名な五賢帝時代に入りました。歴代皇帝から学んだのか、元老院や市民との関係を保ちつつ、統治システムの維持と修正を着実に進めます。しかし、ハドリアヌス帝の時代にユダヤ人との対立が決定的となりパレスチナから強制離散させるという政策を…
悪帝の代表格とも言われるネロが死に追いやられ、ガルバが皇帝になりますが、ビジョンを持たない人物では支持を得られず内乱状態になるのも必然です。取って代わろうとしたオトーとヴィテリウスの争いは無駄な血を流す結果となります。その遺恨から、次はム…
孔子の言葉に、最も徳の高い政治は民が治められていることに気付かないくらい平穏に行われる、というようなのがあったかと思います。実質的に唯一の権力者である皇帝が統治するローマ世界では、なかなかそうはいかなかったようです。堅実な統治と民衆からの…
ユリウスカエサル暗殺後、後継者に指名された無名のオクタヴィアヌスが権力闘争を勝ち抜き、アウグストゥスとして事実上の帝政を軌道にのせる時代の物語です。カエサルの構想したローマの統治システムを着実に実現する手腕は、やはりカエサルが見込んだだけ…
人間誰しも向上心はあるはずです。生まれた環境によって向上心を発揮する機会を奪われることがあるならば、そんな不幸なことはありません。 本書では、ウェブを利用した教育の現状と可能性について述べています。ウェブを利用するコストの低下により、学ぶた…
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ない。」ユリウスカエサル ここまで超越した考えを持ち、神君とまで呼ばれるようになったカエサル。登場が時代にマッチする幸運もあったとはいえ、あまりに鮮…
ローマ共和制の綻びが隠しようもなくなった時代に颯爽と登場したユリウスカエサル。元老院派と対峙しつつガリア制覇も成し遂げるという活躍ぶり。そして出された元老院最終勧告に対し、北伊属州と本国の境界であるルビコン川を前にして、あまりにも有名な「…
図書館で、ローマ人の物語の続き(ユリウスカエサル編)が貸し出し中だったので、代わりにガリア戦記を借りました。名文と評価されていますが、カエサル自身が冒頭で述べているように、平易な叙述がなされており分かりやすかったです。小難しい表現の無意味さ…
変化を起こそうとする時に考えるべきポイントを実例を交えて紹介しています。 人間が変化に直面する様子を象の旅立ちに例えています。人間の理性を象使いに、感情を象に、そして環境を象が歩く道筋に、それぞれ対応させています。 スイッチ!作者: チップ・…
ポエニ戦役以後のローマ社会のほころびとその改革について書かれた巻です。 最も印象に残るのは、失業者の対策としては、生活保護の手当てだけでは不十分で、仕事を得られるようにして自己の存在感を満足させる必要がある、としたくだりである。 やはり今の…