質問力

斎藤孝さんの著書です。コミュニケーションをとるためにはよい質問が必要であると説いています。
質問は、1.具体的か抽象的か、2.本質的か非本質的か、という2つの軸を基準として分類できます。具体的かつ本質的な質問がよいのは言うまでもありません。他には、1.自分が知りたいことか、2.相手が話したいことか、という軸の取り方もあります。公開対談なら、3.聴衆や読者が知りたいことか、も加わります。他にも紹介されていますが、要は質問を発する前に意味を考えた方がよいということです。
よい質問を考えられない場合でもなんとかなります。沿う技とずらす技です。沿う技は相手の発言内容を確認しながら会話を進める方法です。うなずき、おうむ返し、言い換え、などです。適度に行えば相手は理解されていると安心できます。ずらす技は、会話中のキーワードを抽出して話題の転換につなげる方法です。突拍子もない話題の振り方よりもつないでいく方が相手も話しやすいからです。
最後の章では、よい対話の実例を挙げています。話し手がこれまで考えていなかった視点に気付かせるような質問がなされています。新しい知見を紡ぎ出せるような対話は大きな価値を持つと思います。


質問力 ちくま文庫(さ-28-1)

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)