人びとのかたち

塩野七生さんのエッセイ集です。主に映画を通して人間の生きざまを考えています。男女関係に関することが多いですが、それにこだわらず記憶の片隅に残った記述について書きます。
1.人間は誰にも理解されないと思い始めると過激化する。
2.休暇の意味は普段やっていることをやらないことにある。
3.天才は神が愛した者、秀才は天才の才能はわかってしまう人、凡才は秀才の才能は理解するが天才の才能は理解できない人。
4.差別をなくす唯一の道は禁句や差別用語を使わないことではなく、面と向かって堂々と言い合うことではないか。
5.名誉ならば自分自身の問題ですむが、正義は他者も正しいと認めてくれなければ成り立たなくなるというやっかいな面をもつ。
6.古代の戦争は最高司令官が政治家兼武将であった場合の方が勝っている。
7.すべてのことには多方面からのアプローチの仕方があって、一面から捕えてわかったような気になるのは頭脳の怠慢である。
8.戦争は悪であり、それゆえに戦争にもっていかないように努めるのが政治なのである。一方、軍事とは可能な限り犠牲を少なくするよう努めながら目的を達成することである。


人びとのかたち (新潮文庫)

人びとのかたち (新潮文庫)