ローマ人の物語8〜危機と克服

悪帝の代表格とも言われるネロが死に追いやられ、ガルバが皇帝になりますが、ビジョンを持たない人物では支持を得られず内乱状態になるのも必然です。取って代わろうとしたオトーとヴィテリウスの争いは無駄な血を流す結果となります。その遺恨から、次はムキアヌスが擁立され、その推薦を受けたヴェスパシアヌスが皇帝となることでようやく落ち着きます。この間のローマ一般市民の醒めた様子は、統治システムが磐石であることを示しています。トップがコロコロ代わってもその内落ち着くだろうと。退位を迫られる皇帝たちは、なにもしないとか、浪費するとか、保身のために恐怖政治を敷くとか、何らかの原因があります。本書でも紹介される「上に立つほど自由に行動できなくなる」というカエサルの至言を学んでおく必要があったでしょう。

それにしても、トップがコロコロ代わることは今の日本もそっくりですが、いい加減落ち着いてほしいです。私たち一般市民の評判ばかり気にするのではなく、見たくない現実を直視して政治をしてほしいです。

ローマ人の物語 (8) 危機と克服

ローマ人の物語 (8) 危機と克服