ローマ人の物語11〜終わりの始まり

五賢帝時代とは言われるものの、アントニヌス・ピウスの治世には既に北方蛮族の南下によるゲルマンの力関係の変化が始まっており、マルクス・アウレリウスの治世に起こるドナウ防衛戦に至ります。その後、またしても世襲が機能せず再び内乱となりセヴェルスが皇帝となります。
権力の継承に必要なのは実力と正統性である、と述べられています。五賢帝時代は嫡男がいないために実力者を養子にして正統な後継者とすることができました。ですから、嫡男がいることがかえって世襲の弊害を生むという結果になります。
内乱の勝者セヴェルスの政策には結果として問題がありました。まず、軍制改革により軍が孤立化しシビリアンコントロールが利かなくなるきっかけとなります。また、パルティアを追い詰めすぎて衰退させたことにより指揮系統が不明瞭な相手を敵にすることとなり、オリエントを不安定にしてしまったという失策も出ます。まさに終わりの始まりと言える時代です。


ローマ人の物語 (11) 終わりの始まり

ローマ人の物語 (11) 終わりの始まり