ウェブで学ぶ

人間誰しも向上心はあるはずです。生まれた環境によって向上心を発揮する機会を奪われることがあるならば、そんな不幸なことはありません。
本書では、ウェブを利用した教育の現状と可能性について述べています。ウェブを利用するコストの低下により、学ぶためのコストも下がることを期待します。
しかし、このような変化はいわゆる発展途上国の人々やこれから教育を受ける世代には福音ですが、すでに社会にどっぷり浸かっている人々にとっては脅威となる可能性もあります。
やる気さえあれば先にどんどん進める環境では、間違いなく先頭集団と後方に置かれた人々との差が広がります。ここで広がった差を嫌って先頭集団の足を引っ張るようなことがあってはなりません。むしろ先頭集団がより前に進んだことにより、後方に置かれた人々も以前よりは前に進んでいることを喜ぶべきです。つまり、先頭と後方の差は見ずに集団全体が前に進んでいることに注目すべきです。
もちろん後方に置かれたまま動けない人もいるでしょう。そうならないように初等教育で基礎を身に付けさせることの重要性が増します。できれば基礎に加えて好奇心を養っておけば、先頭集団の中でも新しい道を切り開くことができるかもしれません。
生まれ持った向上心を失わせないこと、これを肝に銘じて子どもに対していきたいと思います。


ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

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